
こちらは三代 歌川豊国・歌川広重「双筆五十三次 岡部 六弥太」です。
双筆五十三次は広重と三代豊国の合作で、広重が画面上部の「コマ絵(窓枠のような小さな枠)」に各宿駅の風景を描き、人物を三代豊国が描いた大判錦絵 全55図の連作です。
本図の男性の名は岡部六弥太。源平時代に活躍した実在の人物で、武蔵七党の内猪俣党の武士として源義朝、頼朝に仕え、平家との戦いの中で義経の指揮かに入って転戦し、一の谷合戦では敵方の平の忠度を討ち取る手柄を立てました。平忠度と岡部弥太郎の戦いは戯曲にも取り入れられ、謡曲「忠度」や人形浄瑠璃・歌舞伎の「一谷嫩軍記」が有名です。このうち、「一谷嫩軍記」では六矢田が義経から、文武に通じた平忠度の歌が千載集に採録されたことを伝え、その歌の短冊を結びつけた桜の枝を忠度に渡すように命じます。のちに六弥太が桜の枝を渡してこのことを忠度に伝えると、忠度は感激し、戦場での再会を約束して別れるという場面。本図に描かれているのはこの桜の枝。また、六弥太の着る陣羽織の文様は六弥太格子と言い、歌舞伎で岡部六弥太の衣装に用いられたことから広まったといわれています。
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