
こちらは江戸の花名勝会のうち「さ 三番組 中村芝翫/三田」です。
「江戸の花名勝会」は歌川豊国三代(初代国貞)の役者絵を中心に、複数の絵師の絵を一枚に配した 「貼交絵(はりまぜえ)」。江戸町火消「いろは四十八組」の各組を代表する名所旧跡を紹介する形で、絵には各組の纏が描かれ、また、その地にゆかりの歌舞伎の演目、当時の人気歌舞伎役者などが描かれています。
役者絵には頼光四天王のひとり「渡辺の綱」に扮した中村芝翫が描かれています。渡辺綱は渡辺氏の祖であり、通称「頼光四天王」の筆頭、京都の大江山に住む「酒呑童子(しゅてんどうじ)」という鬼や、その子ども「鬼童丸(きどうまる)」を退治したり、羅生門の鬼の腕を切り落としたりといった、鬼退治にまつわる伝説を持っています。茨木童子との戦いの逸話から、鬼は『渡辺』姓の人間を渡辺綱の子孫だと思い瞬く間に逃走してしまうとされており、ここから節分においては渡辺の苗字を名乗る人は豆まきの必要がないと言われています。本図の渡辺綱が持っているのは、渡辺綱が、京都九条の羅生門において鬼神の腕を切り落とした際、門前に証拠として建てたという禁札(金札)です。
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