
こちらは豊原国周の梅幸百種之内「矢矧日吉月弓張(やはぎのひよしつきのゆみはり)日吉丸」です。
「梅幸百種(ばいこうひゃくしゅ)」とは、梅幸という歌舞伎役者が扮した100種の役を豊原国周(とよはらくにちか)が版画であらわしたもので、梅幸とは幕末から明治にかけて活躍した名優、五代目 尾上菊五郎の俳名です。全100図にわたって描き出した国周の晩年の代表作として知られています。
『矢矧日吉月弓張』は豊臣秀吉(日吉丸)の若き日のエピソードである『絵本太閤記』などを題材としており、日吉丸と、のちにその配下となる盗賊の頭領「蜂須賀小六(はちすかころく=本図右上)」が、矢作橋で出会ったという逸話をもとにしています。奉公先を逃げ出した12歳の日吉丸は、矢作橋で眠っていたところを蜂須賀小六に頭を蹴られます。臆せず謝罪を求めた度胸を買われ、手下になるための初手柄を命じられました。日吉丸は小六らをひきつれ味噌屋へ入り込みますが、家人に見つかったところ「盗賊は井戸に落ちた」と叫んで欺き、見事に逃亡して一行に加わったという逸話です。
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