
こちらは三代 歌川豊国・歌川広重「双筆五十三次 由井 宮城野 志のぶ 姉妹」です。
双筆五十三次は広重と三代豊国の合作で、広重が画面上部の「コマ絵(窓枠のような小さな枠)」に各宿駅の風景を描き、人物を三代豊国が描いた大判錦絵 全55図の連作です。
美人二人が刃を交えている様子が描かれていますが、これは「碁太平記白石噺(ごたいへいきしろいしばなし)」の登場人物、宮城野(みやぎの)と信夫(しのぶ)という姉妹が剣術稽古に励む姿を描いたものです。この芝居は安永9年(1780)正月に江戸の外記座で上演され、同じ年に歌舞伎にも移され、以降人気を博しました。慶安4年(1651)に起きた、由比正雪による幕府転覆未遂事件である慶安の変と、享保2(1717)に奥州足立村で起きたとされる姉妹による仇討ち事件に取材したものです。志賀台七に父与茂作を殺された姉妹が、宇治常悦(由井正雪がモデル)に助けられ、苦難の末父の仇を討つという筋建ての演目です。
本図のコマ絵に描かれているのは由井宿と奥津宿の間にある薩陀峠。この付近は古来、東海道屈指の難所として知られ、危険を冒して断崖の波うち際を歩かなければなりませんでした。江戸時代に入って峠道が整備されたものの、急勾配の山道を越えるのはやはり難儀なことだったそうです。
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