
こちらは三代 歌川豊国・歌川広重「双筆五十三次 沼津 於米 重兵衛」です。
双筆五十三次は広重と三代豊国の合作で、広重が画面上部の「コマ絵(窓枠のような小さな枠)」に各宿駅の風景を描き、人物を三代豊国が描いた大判錦絵 全55図の連作です。
小袖姿で団扇を持って居る男 重兵衛と、島田髷の女性 お米(於米)は、人形浄瑠璃や歌舞伎で有名な「伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)」という芝居の登場人物です。呉服屋である重兵衛は、沼津宿で人足の老人 平作と出会い、平作の家に泊めてもらうことになり、ここで出会ったのが平作の娘であるお米。実は平作は息別れた重兵衛の実の父であり、お米は妹だったのです。しかも、重兵衛の主人である沢井股五郎は、お米の夫、和田志津馬の仇にあたる人物でした。運命の偶然に驚きつつ、重兵衛はそっと平作の家を去るという筋立てのこの物語のモデルは、寛永11年に伊賀上野鍵屋の辻で起きた「伊賀越の仇討ち」。渡辺数馬と剣豪 荒木又右衛門が、河合又五郎を討って仇をとった事件です。この事件は忠臣蔵、曽我の仇討ちとともに三代仇討ちの一つにも数えられ、芝居にも盛んに移されて「伊賀越物」という一系統となっています。
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