
こちらは三代 歌川豊国・歌川広重「双筆五十三次 府中 安倍茶摘」です。
双筆五十三次は広重と三代豊国の合作で、広重が画面上部の「コマ絵(窓枠のような小さな枠)」に各宿駅の風景を描き、人物を三代豊国が描いた大判錦絵 全55図の連作です。
籠を左手に抱えている女性と小さな籠をつるした天秤棒を下げた小さな子供が描かれています。この籠の中身はお茶の葉。本図は晩春から初夏にかけて行われる、茶摘みの様子を描いたものです。現在でも静岡市は茶の一大産地と知られているが、本図に描かれている府中周辺にも茶の生産地があった様子。特に安倍川周辺で作られる「安倍茶(あべちゃ)」は有名です。上方の宇治(うじ:京都)や信楽(しがらき:滋賀)の高級茶にも匹敵し、鎌倉時代の僧、聖一国師円じが宋から持ち帰った茶の実から栽培が始まったと言われており、江戸時代には徳川家御用達となったことでも知られています。
府中宿は現在の静岡県静岡市に位置し、徳川家康は幼少期と晩年をこの地で過ごしたため、大変縁の深い場所となっており、東海道の宿場の中でもひときわ規模が大きく各式高かったそうです。
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